第49回日本SF大会 2010 TOKON10
首都大会EDO―電脳金魚の大冒険―
2010年は東京でSF大会

第49回日本SF大会 “2010 TOKON10” 開催への趣意書

西暦2010年は、SFファンであったら、まず2008年に亡くなられたアーサー・C・クラークの『2010年宇宙の旅』を思い出すことでしょう。クラークと映画監督スタンリー・キューブリックの手になる『2001年宇宙の旅』は不朽の名作でしたが、あの偉大な作品のあと、まさか続編が書かれるなんて、当時はだれも想像はしていませんでした。完成度の高い作品はそれ自体で完結しているから、そっとしておきたい、と思うものなのです。でも、われわれSFファンは、そういう事実はわかってはいたものの、その一方で、続編を読んでみたい、とちょっとは考えてしまうものなのです。そして、クラークはみごとその期待に応えました。

『2010年宇宙の旅』は、木星がウィルスめいたモノリスによって太陽化するその向こう側で、アメリカ製の精子型宇宙船ディスカバリー号と、女性船長のソ連製の子宮型宇宙船が、政治的対立を超えて互いに協力し、その友好的姿勢を宇宙の知的生命体にものばしていこうとする様子を描いた作品です。なんと無謀な、すばらしい想像力!
クラークのチャレンジ精神を、チャーミングだと思ってしまう、それがSFファン魂というものではないでしょうか。

さて、翻ってわたしたち東京ファンダムに長年棲息しているSFファンにとって、2010年という年は、TOKON9からちょうど20年めにあたっています。そうです。東京でSF大会が開催されなくなってから20年。わたしたちは、年に一度のSF大会を楽しみにしてきた典型的なSFファンダム人間ではありますが、2年前に2010年の日本大会の立候補地がいないという非常事態に対して、クラークのチャレンジ精神を見習ってみたいと考えるようになりました。

SFの創成期に開催されたTOKONは、当初こそ宇宙塵を中心にした秘密の決起集会といった色合いを帯びていたものの、その後、政治革命時代にメンバーの数をじわじわのばし、アニメブームとともに女子メンバーが増加した70年代のTOKON6、80年代SF第2世代である一の日会が中心になって開催したTOKON7と、愛国戦隊大日本とSF批評系ががっぷりかみ合ったTOKON8、そしてバブル期の絶頂に開かれたTOKON9と、それ自体長い歴史を織り紡いできています。1990年代から新世紀の今日までTOKON自体は開かれることはありませんでしたが、TOKONに関わった人々もその豊かな想像力も、バブル崩壊からエヴァ・ブームとオウム真理教時代を経て現在のおたくや萌えカルチュアへ連なる日本SF文化史のなかに、脈々と受け継がれてきました。わたしたちは、そうした日本SF史やSF大会史に果たしてきたTOKONの役割を大事に振り返りつつ、今後のSFとSFファンダムを構築していくためのひとつの場を、ふたたび提供したいと考えております。

発起人代表
立花眞奈美
発起人
石神南、おのうちみん、尾山ノルマ、柏崎玲央奈、小谷真理、三五千波、島田喜美子、福島かずみ

大会概要

Produced by Tokon10